京都地方裁判所 昭和33年(む)11号 判決 1958年2月10日
被疑者 和田克衛
★ 決定
(被疑者・弁護人氏名)(略)
右弁護人から勾留中の被疑者に接見するについて日時場所時間の指定等の申立があつたから次のとおり決定する。
主文
検察官は弁護人が被疑者に接見するについてその日時場所時間を指定しない限り面接を拒否してはならない
弁護人の他の申立は棄却する
理由
本件申立の要旨は右被疑者に対する収賄事件について弁護人が二回に亘り検察官に対し勾留中の被疑者に接見するため面接を求めたところ、検察官はその日時場所時間を指定することを約束しながらその指定をせずに被疑者との接見を制限しているから刑事訴訟法第四三〇条第一項により検察官に対し接見の日時、場所、時間を指定し、その指定をしない限り接見を拒否してはならない旨の決定を求めると謂うのである。
案ずるに弁護人は勾留中の被疑者との接見を禁止せられないこと及び検察官が捜査のため必要があると認め接見の日時場所時間を指定しない限り接見の自由を制限せられないことは刑事訴訟法第三九条により明かである。従つて検察官は弁護人が被疑者と接見するについて捜査の必要上その日時場所時間を指定しない限り接見を拒否してはならない、又その指定について弁護権の行使を不当に制限するようなものであつてはならないことは同条第三項の明規するところである。それ故弁護人が被疑者と接見するについて予め検察官に対しその日時等の指定を求めることは事務的には適当な処置であろうがその指定を待たねば接見することが出来ない筋合ではないからその指定を求める趣旨の申立は理由がない。仍て主文のとおり決定する。
(裁判官 小田春雄)